ジープの部品に興味を持ち始めるとDana 44について見聞きするようになります。(そうなの?)
この記事では「Dana 44って何?」という人向けに基本的な情報を書いています。また、ジープにあまり関係ないところは更にあっさりした説明になっています。
今後、少しずつ手持ちのアクスルの画像を追加したり、加筆をしていければと思います。
Dana 44とは?
Dana 44とはDana Incorporatedが製造しているアクスル(車軸/ホーシング)「モデル44」のことです。
Danaの発音についてですが、日本のジープ乗り界隈では「ダナ」と発音していました。Danaの日本支社のサイトでは「デーナ」と記載されています。アメリカのYoutuberの発音を確認してみると「ダナ」と「デーナ」の中間のように聞こえます。言い出しがダ:デ = 4:1 という感じ。結論、好みで発音すれば良いと思います。
Dana Incorporated
Dana incorporatedは主に自動車メーカーにドライブトレインの部品供給を行っているアメリカの会社です。
現在、Danaの主な顧客はフォード、ステランティス(ジープブランドやクライスラー、ダッジ、ラムなどをグループにしているコーポレート企業)などで、売上は北米が全体の約半分を占めています。
種類
Dana 44にはフロント用とリア用があり、また、ソリッド(リジッド)アクスルだけでなく独立懸架アクスルも存在します。
初めてDana 44が登場したのが1940年代。それ以降、ジープだけでなく様々な自動車に採用されてきました。
ディファレンシャル・キャリアの材質はダクタイル鋳鉄です。アクスル・チューブなどの部品構成によって様々な車種に対応できることが生産面でのメリットと言えます。
現在でもジープに採用されており、ルビコンモデルには前後ともDana 44のソリッドアクスルが採用されています。
Dana 44 ソリッド・アクスル
フロント・ソリッド・アクスル
フロントDana 44は、250kg~1トンまでのトラックに使用されてきました。
フロント用には両端にステアリング操作を行うためのナックル・スピンドルが取り付けられます。
ナックルの種類にはTJ/JK/JL/JTなどで見られるオープン・ナックルと、三菱ジープ(フロントはDana 44ではありませんが参考として)で見られるような密閉されたクローズド・ナックルがあります。
オープン・ナックル
外観から”C”と呼ばれる構成部品を持つのがオープン・ナックルです。関節部のジョイントにはボール・ジョイントが使用されています。
クローズド・ナックル
FordやInternational Harvesterに採用されました。
クローズド・ナックルにはキングピンが使われています。
リア・ソリッド・アクスル
Dana 44リア・アクスルは1940年代から現在に至るまで、ジープにも一時はオプション設定となることもありましたが採用されてきました。
GAWR(Gross Axle Wait Ratio = 車軸あたりの最大許容荷重)は1,600kgで、セミフロート・アクスルとなっています。
アフターマーケットにはフルフロート化キットやアクスル・トラスなどのシャフトやハウジングの強化パーツが多く見られます。また、三菱ジープのリア・アクスルの設計もこのDana 44が元になっています。
独立懸架式Dana 44
フロント・独立懸架アクスル
1980年~1996年までにFordでTwin Traction Beamと呼ばれていた独立懸架式です。Dana 44 TTBは、F-150、ブロンコに使われていました。
リア・独立懸架アクスル
1961年にジャガーEタイプで最初に使われました。その後、シボレー コルベットとダッヂ バイバーに使用されていました。
Dana 44の評価
アクスルの評価や議論をする際に指標となるものに以下のようなものがあります。アクスル・スワップをする際にはこれらを考え自分に合ったアクスルを選ぶことになります。
- デフのリング&ピニオンの大きさ
- ピニオン・ベアリングのプリロード調整がクラッシュ・スリーブ式かシム+ソリッド・スペーサー式かどうか
- 回転方向とピニオンギア入力位置
- アクスル・チューブの外径と厚さ
- アクスル・シャフトの外径とスプラインの数
- ホイールラグナットの数
- ディスク・ブレーキの有無
- デフのオフセット位置
- WMS(Wheel Mount Surface:ホイール取付面) to WMSの幅
Dana 44には35~37インチサイズのタイヤまでが無難と言われることが多いようです。より大きな外径のタイヤを履きたい場合は、最大許容荷重とトルクがより大きいDana 60などが選択肢となってくるでしょう。
おわりに
Dana 44は多くのバリエーションが様々な車種に使われてきました。ジープに古くは1950年の半ば頃から採用され始め、その後、多くのジープモデルにも採用されてきました。一時期はDana 35やAMC20といったリア・アクスルが使われることもありましたが、変化を続けながら今現在でも最新のジープJL/JTに採用されているのがDana 44アクスルです。
最後まで読んで頂きありがとうございました!